東海自然歩道歩きも,もう第7段となった.今回は,5月末に歩いた比叡山越えの続き,大津市の北部,南滋賀駅からのスタートだ.
今回はまずは琵琶湖の南西側の寺社の多い地域を南下し,さらに音羽山という山に登り,湖南の石山に降りるというルートだ.
ルートは
ヤマレコ.
最初に現れるのは近江神宮.観光客も多く来て賑わっている.
近江神宮の南にある駐車場の隅っこ,幼稚園の入り口の左脇の細い隙間を入っていくのが,どうやらルートらしい.
今は立派なマンションが立っているが,かつてはここはユースホステルだったらしい.道標にも自分が持っている本(AGビックフットWEST 東海自然歩道 関西周辺)にもユースホステルと書かれている.
おそらくこの辺りはかつては純粋に観光地だったが,今では京都大阪への通勤圏で宅地開発が進んでいるのだろう(東海自然歩道を歩いていると,時代を追うごとに自然歩道が宅地に飲み込まれてしまったであろう場所が散見され,興味深い)
今回のルート沿いでも有数の名所が三井寺.せっかくなので,後半の行程がきつくなるのは覚悟した上で中を拝観することにした.中はかなり広く,結局1時間程度も見て回った.写真は金堂と三重塔.
サコッシュを忘れたのでカメラや本を手で持ったまま歩いていて難儀をしていたので,この絞り染めのバッグを三井寺の前のお土産屋さんで買った.
東海自然歩道が宅地に飲み込まれた場所はこれまでも幾つもあったが,京都や大阪府内ではそのような場所の道標も比較的残っていたが,滋賀県内では残っていない場合が多いようだ.
そのかわり,普通の道標の少なさをカバーするためか,この手の地図が載った看板は滋賀県内は多い.
ここがかの有名な「逢坂の関」.現在は往時の趣を感じることはできないが,そのかわり今も現役の峠道だ.本州の大動脈,国道1号線が通っている.
奥に見えるのは京阪電車で,時間次第ではここで切り上げることもできるが,まだ日は高いので先に進む.
逢坂の関の後に待っているのはかなりの勾配の急坂.整備はよく行き届いているが,午後からの登りはちょっと応える.
通常の日帰り山行なら午後から入山するなんていうことは先ずないが,東海自然歩道のようにルートを踏破することが目的だとそのようなことが起こりうる.市街地コースの後に山間コースがある場合はペース,時間,体力の配分が難しい.
登り一辺倒の末,勾配が緩くなってきたら到着する山頂.背後に送電鉄塔がそびえていてアレだが,景色は素晴らしく,大津の市街や琵琶湖はもちろん,京都市街も一望でき,遠くには大阪方面も見える.
音羽山からはアップダウンを繰り返しつつ高度を下げ,稜線を外れると一気に下りあという間に林道に出る.林道歩きが延々と続くとおもいきや,途中から欧米のクリークを思わせるようなゆったりとした川(灌漑用水路?)の脇の気持ちいい道になる.
市街地に出る手前,このようなちょっと大きな池が幾つもある地帯を抜ける.1箇所には鵜避けの紐が張ってあったので,なにか魚を育てているのかな?
池の後,農村が徐々に市街地になるころに,左手に「幻住庵」が現れる.松尾芭蕉ゆかりの建物だ.ルートから少し外れて階段を結構登るが,なかなか趣きのあるいい場所だったので行く価値はあった.
幻住庵より先は本格的な住宅地で,高校などもありその裏を抜けていくと瀬田川という琵琶湖のアウトレットに行き当たる.ここを下流側に暫く歩くと現れるのが石山寺である.
実は,音羽山を下る辺りから時間との戦いであった.大抵の寺社の拝観時間は4時半とか5時.石山寺の拝観時間に間に合うか極めて微妙であった.市街地に入ってからはかなりの早足で進んだ.
石山寺の山門に着いたのが16:20.入場は16時半までだったので,ギリギリ間に合った.ただ閉門は17時ではなく16:45とのこと,ラストスパートで疲れた足に鞭打ってさらにお寺の石段を登り,早足で拝観することとなった.(拝観は,次回の東海自然歩道歩きの時でも良かったが,つぎの行程はこれまでで最もシビアになりそうなので,その時間はない)
この多宝塔は日本最古のものらしい.
山の中の,地形の変化に富んだお寺だった.
拝観を終えそのまま帰っても良かったが,もう少しだけ進むことにする.すこし行った所に東海自然歩道の分岐点があるからだ.
東海自然歩道は,本線ルートと呼ばれる信楽や甲賀,滋賀・三重県境を進むルートに加え,宇治や室生を始めとした紀伊半島の自然,歴史の名所を縫うような「山の辺ルート」が並行している部分がある.この西の分岐点がまさにこの地点だ.
東海自然歩道を知らない人にとっては何のことはない道標だが,第1目標としてこの分岐を目指して歩いてきた自分にとってはここに至ったことは感慨深い.
東海自然歩道歩きの今後の計画としては,まずは本線ルートを次の分岐点(山の辺ルートとの合流点)まで歩こうと思う.その後は更に東を目指すか山の辺ルートを歩くか,考え中である.