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山道歩き

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立山(中編)

前回の続き.

山頂の石碑の前にはお堂の跡と覚しきものがある.木材もそのまま積まれている.
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石碑のあるピークから山頂まで向かう間にもドンドンと風が強くなる.今朝見た天気図から推測するに,熱低崩れの温帯低気圧が立派な前線を従えて富山沖ににおり,そろそろ温暖前線が通過することのはずだ.
地形図を眺めると五色ヶ原まではいくつかのコルを通過する.ただでさえ強い風のなか,風が収斂するコルを通ることに不安を覚えた.「そう言えば映画『劔岳』で柴崎さんが遭難しかかったのはこれから行くザラ峠じゃなかったっけ?」なんて友人と話していると,いよいよ撤退ムードが高まってきた.この大雨で黒部湖畔の水平歩道にあるいくつかの沢の丸木橋もどうなっているか分からない.風雨のせいでここまでのペースも遅めだ.
とりあえず分岐点の富山大の小屋まで行こうということになったが,もはや撤退は心に決まっていた.

一の越のコル方面に向かい標高を下げるにつれて風がさらに強くなり,歩いててバランスを崩すくらいになってきた.冬の北アの強風はこんなものでは無いだろうが,アルプスの風の怖さを垣間見た気がした.姿勢を低くし,慎重に歩く.
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富山大の小屋に着く.気象観測装置などが置かれている.改修中らしく作業小屋も建てられていた.自分が大学生の時もこんな小屋でゼミがあったらよかったのにな,なんて思う.
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結局なんのためらいもなく,五色ヶ原への稜線ではなく一の越へ下る(笑).無理は禁物だ.
下るに連れて更に風が強く吹く.
やがて石室を発見,雨も少ししのげる.ここで昼食休憩とする.
富山で買ったブラックラーメンのカップ麺を食べる.アルコールストーブはよく働いてくれた.
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風は相変わらずだが,雨は殆どやんだ.
石室をでてちょっとで一の越の小屋についた.これなら小屋で休憩にしても良かったのに...
小屋でピンバッジを買う.
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一の越からの下山路はコンクリートで固められていて,しっかりしていた.ビニール合羽の観光客も登ってくる.
室堂平に近づくと高山植物が多くなってくる.
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高山植物のピークは過ぎたが,まだいくつかの種類の花は盛りを迎えていた.
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映画および小説の「劔岳」では行者様がいらした玉殿の石室に寄って行く.分岐から5分ほどで,崖下の石室に着いた.洞穴は2つあり,それぞれに石仏がいくつも置かれていた.
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立山は日本アルプス随一の歴史のある山域.雨で景色はダメだが,可愛らしい高山植物や史跡が厳しい風雨の登山に華を添えてくれた.
急いで帰ればまだ東京or神戸に終電までには着けそうだったが,それも癪なので室堂で泊まっていくこととし,のんびりする.

つづく.
by trail_walker | 2010-09-14 22:32 | 山行
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